ヨルダンでの活動任期も折り返しの一年を迎えました。現状、プライベートは充実していますが、活動は今ひとつの状況で、早くも長くも感じる一年だったと言うのが正直なところです。また今は任期中に5回提出するボランティア活動報告書の3号の提出時期で、これまで一年間の活動状況を振り返って、今後の活動の方向性の修正を行ないます。ちなみに近々、JICAヨルダン事務所で活動の中間報告会もありプレゼンに頭を悩ませている今日この頃です。
【報告書要約】
1.活動の進捗状況
環境教育の主な活動が学校巡回と環境イベントの実施の2つ。学校巡回に関して、環境教育の認知拡大の為、全校巡回を目標に行なってきたが残り任期を考えると難しい状況。実施している授業内容は、主にリサイクル工作、3Rやヨルダンのゴミ処理事情に関するもの。環境イベントに関して、現在は休日を利用した業務外でのゴミ拾いイベントや環境アクティビティの実施が大半を占める。
2.着任後一年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決案
活動結果として、現在までの学校巡回数10校(配属先管轄校数20)。日本語学習やボランティアを巻き込んだゴミ拾いイベント、ヨルダン人及びシリア人の補修学級での環境アクティビティ実施など。課題として、定期的な学校巡回先が獲得できていないことが課題であり、それを解決する為に、今まで巡回した学校の中からモデル校として有力な学校を選定し、その学校教員に重点的にアプローチし関係を深化、直接的やり取りを通して効率的な定期巡回につなげる。
3.現地支援制度活用計画
環境ワークショップ、ゴミ拾いイベント、環境教育教材作成において現地支援制度の活用を計画している。
4.社会的格差に関する所見
配属先内における、職人の給与に対する不満や所得格差、自身の所属活動課におけるスカウトキャンプ担当の役割分担、高い役職における男女比などに関する所見。地域社会における、物乞いやシリア難民に関する所見。
5.その他特記事項
2015年12月22日に前職である株式会社エフエム香川のラジオ番組出演し、青年海外協力隊や任地のヨルダンのことについて話をした。放送日は2016年1月11日。
【活動の進捗状況】
①活動概要・進捗状況
活動は主に、配属先が管轄する地域の学校を巡回し環境教育に関する授業やその知識・アイディアを提供することと、環境活動や啓発を目的とした環境イベント実施の2点である。学校巡回の進捗状況:環境教育の認知を広める為に、一年間全校巡回を目標にしてきた。前学期は多くの学校から環境教育の依頼があったが、今学期は数が減り巡回が無い日が多かった為、目標としていた全校巡回には至っていない。
授業内容:前学期はリサイクル工作の需要が多く他の授業をほとんど実施しなかった。今学期はリサイクル工作に加え、3R(Reduce、Reuse、Recycle)に関する授業や最終処分場の動画(7月に環境・写真隊員で協力し作成)を利用した授業も取り入れた。環境イベント:前学期は任地内外でイベント(ワークショップ、ゴミ拾い等)を数多く実施。今学期では業務上での実施はほとんど無く、代わりに休日を利用したイベントが大半を占めた。
②活動計画の変更点
「全校への学校巡回」に関して、残りの任期を考慮すると必要性が低いので破棄し、今後は「定期的な学校巡回」に重点を置くことにした。その他に関しては今後も計画に沿った活動を予定している。
【着任後一年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決案】
①活動結果と課題
まず学校巡回に関して、この一年間での巡回校数の合計10校(ザルカ局管轄校数20)。全校に巡回をすることを目標にしていたこともあり、定期巡回先の学校の確保には至っておらず、その確保が今後の課題である。
次に環境イベントに関して、この一年で10の環境イベント(環境ワークショップ、ゴミ拾いイベントなど)を実施。開催場所はアンマン、ジェラシュ、サルト、ザルカ、クーラなどである。また中には休日に業務外で実施したイベントもあり、その際に現地の環境NGOに無償でゴミ袋の提供をしてもらうなど今後に繋がる協力関係が構築された。
②課題の解決策
継続的な環境教育の授業支援を行なう上で、決まった学校に対して定期的に巡回を行なうことが重要であり、現在最大の課題が定期巡回先の確保と定期巡回の実施である。
その解決策として、今までに巡回した学校の中でモデル校として有力と思われる学校に焦点を絞りアプローチしていく方法にシフトし、学校教員との関係性を構築する。そして従来の教育局担当者を介するアプローチではなく、教員や学校側との直接的なやりとりを通して効率的に定期巡回に繋げる。
【現地支援制度活用計画】
現在計画している、現地活動費が必要となる活動として以下3つがあげられる。
①環境ワークショップの実施(2016年4月もしくは9月頃に実施予定)
主に環境クラブ顧問教員に対して環境教育の知識やアイディアの提供、各校教員同士の意見交換、及び人間関係構築の場の提供などを目的として実施するもので、実施に際し表彰状や景品、昼食などの経費。
②ゴミ拾いイベント(1~2ヶ月に一回実施予定)
任地及びヨルダン各地で開催する、地域住民やボランティアを巻き込む形のゴミ拾いイベント。その実施に当たり、啓発活動のためのTシャツ(環境メッセージ入り)の作成費用。
③環境教育教材の作成(2016年9月頃作成予定)
ザルカ教育局管轄工校に対し、環境教育に関するアイディアや授業案に関するデータをCDにして配布を予定している。その為、媒体となるCD全校分(20枚)の購入経費。
【社会的格差に関する所見】
配属先や任地における社会的格差に関する自身の所見は以下の通りである。
①配属先
・役職により給与に差はあるが、高級車に乗るなど高い生活水準を確保している職員がいる一方で、賃金の低さゆえに学費などを賄うのが厳しく本職とは別にパートタイム労働に従事している職員もいる。仕事量に対する給与の低さに不満を持つ職員もいる。
・活動課のスカウトキャンプ担当の職員に関しては男子生徒に対して男子職員が、女子生徒に対して女子職員が担当している。部長や課長など高い役職には男性がついている場合が多いようだ。
②任地
・生活圏内において、決して多くはないが物乞いをする人々がいる。日々同じ場所に座り、お金を求める人、バス停や通りで歩きながら通行人にお金を求める人など。しかしながら、物乞いの人々の中には犯罪シンジケートと繋がっている場合も多く、集められたお金が資金として吸い上げられているという話も聞く。
・ザルカはヨルダン第二の都市であるということもあり、多くのシリア難民が暮らしている。シリア人はヨルダン政府から就労を禁止されており生活に困窮している場合が多く、また地域コミュニティー内で差別に会うケースも多いと聞く。
【その他特記事項】
ラジオ番組に国際電話で出演し、約50分間下記項目に関する話をした。
・青年海外協力隊になろうと思ったきっかけ
・ヨルダンについて(文化、習慣、宗教など)
・日本人の二十歳とヨルダン人の二十歳の違い(放送日が成人式シーズンの為)
・文化も言葉も違うヨルダンの人とどの様にコミュニケーションをとっているか
・中東情勢について、現地はどういった雰囲気か
・任期後半の1年をどうしていきたいか
など