2016年10月30日日曜日

NICCOの難民支援 ~演劇発表~

@ザルカ商工会議所

休日の土曜日、自身の任地ザルカでシリア人やヨルダン人の支援を行なっているNGO「NICCO」が主催する演劇を見に行ってきました。NICCOはヨルダンでは主に戦争被害者のメンタルケアを目的とした心理社会的ワークショップを実施している団体です。

心理社会的ワークショップとは、描画(2次元)→粘土(3次元)→演劇(4次元)という自己表現プロセスを通して戦争によるトラウマやストレスに向き合って、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を予防するものです。そして演劇では、自身の経験や身の回りの問題などを自分自身で演じて表現すると共に、自分達が置かれている状況や気持ちを他の人々にも知ってもらう啓発も目的とされています。今講演は約半年練習した演劇を家族や親族へのお披露する場でしたが、他にもヨルダン各所で一般講演も行なうなど精力的に活動しています。

昨年の5月にNICCOのザルカオフィスにお邪魔させてもらい、演劇の練習など活動の様子を見学させてもらったのですが、実際の講演を見るのは今回が初めて。約2時間、彼らの身近にある問題や悩みをテーマにしたショートストーリーがシリアスに時にコミカルに演じられていました。しかしながら、全編アラビア語だった為いまいち内容がつかめず。それでも役者達の感情豊かな演技はとてもすばらしく、内容が分からないなりに楽しめました。人前で堂々と演じられる度胸はさすがアラブ人です。

ヨルダンに来て約1年10ヶ月、これまでヨルダン国内において様々なNGOの活動や支援の形を見聞きする機会があり、自身の今後の進路を考える上で参考になる部分も多くありました。後2ヶ月で任期が終わりますが、これまでの経験を元に今後自身がどのような形で「平和と戦争」というテーマに関わっていくか今一度考えたいと思います。

2016年10月15日土曜日

アズラック難民キャンプ

@アズラック難民キャンプ

シリアやイラク、パレスチナに囲まれたヨルダンには、長い歴史の中で戦火を逃れてきた難民の人々が数多く暮らしています。そして、近年の長引くシリア内戦によってヨルダンに逃れてくる難民は後を絶つことがありません。

ヨルダン北東部のマフラック地域にはシリア内戦が始まってすぐ建設されたザータリ難民キャンプがあります。現在、約8万人の人々がそこで暮らしていますが、人口はもう飽和状態。かつてテントだけの簡素なキャンプも今は全て丈夫なプレハブになり、公共施設ができ、商売も盛んに行われ、一つの町の様になっているそうです。

写真のアズラック難民キャンプはヨルダン東部のアズラック地域のまさに砂漠ど真ん中にあります。こちらは2014年に建設されたもので、現在約5万人が暮らしています。またその近くにはエミレーツ・ジョルダニアンキャンプというものもあり約7千人が暮らしています。

難民キャンプで暮らす人の数だけでも10万人を超えますが、キャンプでの窮屈な暮らしから逃れてヨルダンコミュニティの中で暮らす人々の方がはるかに多いのが現状です。最低限の生活も保証されない状況で、且つ就労が認められず、その中で生活の糧を得るのは簡単なことではありません。また少なからず現地の人々からの差別も存在します。

そんな中、現地や海外のNGOの支援やヨルダンに住む親族等の助けでなんとか暮らしているの状況です。自分自身、日常でシリア人と接する機会も時々ありますが、彼らの厳しい生活状況については話に聞いたことがあるだけで、リアルな現状をこの目で見て知っているわけではありません。

それでも、そういった人々と少しであっても直接的に関わることを通して、日本という遠く離れた地でニュース越しに見ていた時よりも問題が身近に感じられる様になった気がします。

■各地域の難民数など詳細データに関しては、Syria Regional Refugee Responseをご参照下さい。